「民事信託」「家族信託」用語について


委託者とは?

「委託者」とは、信託法3条に定まる信託契約、遺言信託等の信託の方法により信託をする者をいいます。(信託法2条4項)。いわゆる「信託財産」を託す者のことです。(下記図のA男


受託者とは?

「受託者」とは、信託行為の定めに従い、信託財産に属する財産の管理又は処分及びその他の信託の目的の達成のために必要な行為をすべき義務を負う者をいいます(2条5項)

すなわち「信託目的」を達成するために必要な行為 =「信託事務」 を行う者をいい、委託者から信託財産の移転を受け、信託目的に従って受益者のために信託財産の管理・処分等をする者をいいます。下記図のC男


受益者とは?

「受益者」とは、信託における受益権を有する者をいいます(2条6項)下記図のA男、B女、C男、D女


受益権、受益債権とは? (2条6,7項)

「受益権」とは、信託行為に基づいて受託者が受益者に対し負う債務であって信託財産に属する財産の引渡しその他の信託財産に係る給付をすべきものに係る債権 (以下「受益債権」という)及びこれを確保するためにこの法律の規定に基づいて受託者その他の者に対し一定の行為を求めることができる権利をいいます(2条6、7項)。なお、受益債権は信託債権に劣後します(101条)。


他益信託は受益者の受益の意思表示は原則として不要(信託法88条)であるため、第三者のための契約(民537)とは異なります。

遺言代用信託(信託法90条)、受益者連続信託(同法91条)などにより、当初は受益者不在又は自益信託その後は他益信託とする組み合わせの信託もできることとなります。


自益信託と他益信託とは?

 

委託者自らを受益者とする信託を自益信託、委託者以外の者を受益者とする信託を他益信託と呼びます。

いわゆる、委託者と受益者が異なると「他益信託」同一人物であると「自益信託」と呼びます。我が国では贈与税課税の関係から、ほとんどの信託設定が自益信託となっています。