相続 Q&A


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Q1 戸籍の改製原戸籍と除籍の違いは?

 改製原戸籍とは、原戸籍(はらこせき)とも言い、戸籍の改製によって、従前の戸籍が削除され新たな戸籍が編製された場合のその除かれた従前の戸籍をいいます。除籍は、①一戸籍内の各員が順次削除されて、その全員が除かれた場合 ②管外へ転籍の場合 ③旧法においては、家督相続があったときにも従前の戸籍は除籍となりました。


Q2 遺産分割時の留意点は?

A 兄弟間で相続の場合、遺産分割を協議するときに、不動産を共有持分で相続するということはお勧めしません。共有持分は、不動産を利用するときや譲渡(売買)のときに、必ず他の共有者の同意(合意)が必要となる場合が多いことから避けたほうがいいということです。さらに、共有者の方の相続が発生すると、利害関係者が増加して書類の手続きも複雑・煩雑になり、不動産の利用や処分(売買・賃貸)に制限が加わり、取引上においても実際の価格が下がると言う現象が起きます。 


Q3 遺産分割後の再分割は課税される ?

A 相続が発生した場合、遺産分割協議が成立しない場合に、よく、法定相続分での相続登記をされる場合があります。 不動産登記法上は、最初の登記原因は、『相続』による法定相続人全員の持分登記(申請人は相続人のうちの一人からでも申請できますが、登記識別情報は申請人のみの通知となります。)となり、遺産に関する所有権が確定することになります。 その後、相続人全員の合意により再度、遺産分割協議を行い登記の変更を行なう場合は、登記原因が『遺産分割』として登記申請ができます。

 しかし、一旦被相続人名義から相続人に登記をした後、「再遺産分割協議」等により再度名義を変更すると、登記申請はできるものの、税務法上は、贈与とみなされ、贈与税が課される場合があることに注意をしなければなりません。 やむをえず不動産の名義を変更する必要が生じた場合は、互いの不動産を交換(特例に該当すれば所得税の非課税も可)するか一般の売買とするしかないと思われますので、その際には、提携税理士をご紹介し、お客様に有利な方法の解決策を模索します。その場合は前記の相続に関する税金の優遇措置はありませんし、譲渡税が課税されることとなるので、注意が必要です。


Q4 平成20年に父甲の遺産について、相続人である母乙、子A、B、C間で遺産分割協議が行われ、不動産については母乙が全てを相続することに決定しました。しかし、遺産分割協議書は原本ではなく、コピーしかありません。 相続登記をしないうちに、母乙が平成26年に死亡しました。 母乙が単独で相続した不動産について、子A、B、C間で遺産分割協議を行なった結果、子A、B、Cがそれぞれ持分3分の1ずつ相続することになりました。 この相続登記申請はどのようにしたらよいのでしょうか?

A 司法書士は、相続税の計算はできませんが、登録免許税の計算はできます。依頼者のために登録免許税をできるだけ安くしてあげることに、苦心した結果、父からの第一次相続人が乙単独で取得しているのであれば、権利変動の過程が比較的明らかであって、登記原因の記載も複雑となるおそれはないので、第二次相続人が3人の共有であったとしても、1件の登記申請が可能であるという結論に達します。登記原因としては、『平成20年 月 日乙相続、平成26年 月 日相続』という数次相続について、1件の申請による登記をすることが認められるのです(昭和30年12月16日民甲第2670号民事局長通達)。

 ところで、相続税に関しては税理士にお願いをするわけですが、司法書士として、平成20年父甲 死亡時に行われた有効な遺産分割協議書(例えば、相続の申告をしたが、相続登記はしなかった場合)が存在していても、その遺産分割協議書がコピーの場合には、登記に使用できないことになります。

 しかしながら、そのコピーが残っている場合、相続の確定申告をしていることが考えられることから、その分割協議の結果をないがしろにすることはできません。登記では使用できない遺産分割協議書をどのような法的効果を持たせて、登記申請ができるかですが、平成20年の遺産分割協議書を現在の相続人全員が実印、印鑑証明書を添付して証明する方法があります。

 そこで、登記手続き上、有効になった平成20年の遺産分割協議書と今般の平成26年の協議書で1件の登記申請(数次相続)をすれば、登記免許税が軽減されることになります。

 ただし、司法書士として、気をつけなければならないのは、父の相続に際して、妻乙が相続登記をしていれば、相続税が発生しなかったのではないかと考えられることです。司法書士は、税の専門家でないので、登録免許税の軽減ばかりに注意を喚起し、父甲の相続登記を今般の平成26年の遺産分割協議書と平成20年の遺産分割協議書の双方を添付して、最終相続人子A、B、Cがそれぞれ持分3分の1ずつ相続するという1件の登記申請をした場合、税務署が相続税をどのように掛けてくるか、税理士に相談された方がよいと思われる事案です。登録免許税を節約したところ、相続税の方が高くなってしまったのでは本末転倒です。

 亡乙名義に一度相続登記を入れて、相続税を回避するという手法を取る場合があります。

 税理士に計算を行ってもらって、1件の登記申請でも課税されないようであれば、遺産分割協議書は、平成20年の内容を現在の相続人で証明し、今般の平成26年の遺産分割協議書(協議者は同一相続人)を双方添付して、数次相続の登記申請をする方法が考えられます。

 相続登記は、ベテランの当事務所にお越しいただきますと、懇切丁寧にご説明申し上げます。


Q5 戸主Bが旧法中の昭和20年7月に死亡していますが、法定・指定及び選定の家督相続人もないまま新法の施行に至っています。(同ケース=昭和19年8月28日、戸主が戦死し、唯一人の弟が残されたが、家督相続の選定をしないまま過ぎた。)家督相続について、教えてください。

A 本件ではB死亡当時Aの母親が健在だったということから、Aの母が家族中から相続人を選定すべきものであったと考えられます。この場合、今日の未処理の遺産処理については、相続の開始が旧法における家督相続であっても、旧法中の相続開始時に遡って新法の遺産相続の規定が適用されます(民法附則第25条2項本文)。

 したがって、本件Bを被相続人として同人死亡後の昭和20年7月に生存していた相続人となる者は、妻A(相続分2分の1)、Bの直系尊属父母、相続分2分の1)(民889条1項第1、890条、改正前900条2号)。この場合は、旧民法の親族関係で新法を適用します。

 ただし、昭和22年12月31日までに選定されていたが、戸籍上の届出をしていないという場合は、現在でもその届出は認められ、市区町村長は監督法務局の許可を得て、職権で家督相続による新戸籍の編製をすることができます(昭和26年1月26日民事甲第50号回答)

 しかしながら、昭和32年法務省令第27号による戸籍改製後は、家督相続による戸籍編製は省略されることとなりました(昭和33年5月29日民事甲第1070号通達)。

 次のような戸籍の記載をお見かけする場合があるかと思います。

『○某家督相続平成  年 月 日許可  月  日記載戸籍改製後につき家督相続による戸籍の編製省略㊞』


Q6 遺言執行者とは?

A (遺言執行者の指定)

第1006条  遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。

2  遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければならない。

3  遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なくその旨を相続人に通知しなければならない。

(遺言執行者の任務の開始)

第1007条  遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。

(遺言執行者に対する就職の催告)

第1008条  相続人その他の利害関係人は、遺言執行者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就職を承諾するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、遺言執行者が、その期間内に相続人に対して確答をしないときは、就職を承諾したものとみなす。

(遺言執行者の選任)

第1010条  遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、これを選任することができる。

(相続財産の目録の作成)

第1011条  遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。

2  遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。

(遺言執行者の権利義務)

第1012条  遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。

2  第644条から第647条まで及び第650条の規定は、遺言執行者について準用する。

(遺言執行者の地位)

第1015条  遺言執行者は、相続人の代理人とみなす。


Q7 遺留分とは?

A 遺留分減殺請求は、遺留分を侵害している他の相続人や受遺者に対して行うことになります。遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が相続開始・減殺すべき贈与・遺贈のいずれかがあったことを知った時から1年が経過すると、時効によって消滅してしまいます。 あくまで、相続の開始等のいずれかを「知った時」からカウントしますから、相続が開始されていたことをも、減殺すべき贈与があることも、遺贈があったことも知らなければ、消滅時効期間は進行しません。 たとえ、相続開始等から1年以上が経過していようとも、相続開始等を知らないままであれば、時効によって消滅することはないということです(ただし、相続開始から10年経過すると、除斥期間によって消滅します。)。

 (遺留分の帰属及びその割合)民法第1028条

 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。

一 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の3分の1

二 前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の2分の1


Q8 墳墓地の登記について、教えてください。

A 墓地(墳墓地)の相続について

  墓地の相続等による所有権移転登記手続には、「祭祀物承継」と「相続」の二つの承継が考えられます。

 (1)他の不動産と一緒に相続を原因として相続登記をする方法です。⇒この登記の際に『墓地』の相続登記を遺漏してしまうことが多いので、注意を要します。

 (2)民法第897条による承継を原因として登記を申請する方法です。

 原則として、墓地は祭祀財産であることから、「民法第897条による承継」を登記原因として所有権移転登記申請をすべきであるという見解があります。

 しかしながら、他人が墓地として使用している土地を所有している当該墓地の所有者にとっては、当該墓地は、自己の祭祀財産ではないことから、その所有者が死亡した場合、墓地は一般財産と同様に相続の対象(相続財産)となります。

 登記手続において、自己の祭祀財産か否かを証明する必要はないので、墳墓地の相続よる所有権移転登記は受理されます(昭和35年5月19日民事甲第1130号民事局長回答)。

 実際、祭祀物承継による登記は大変めずらしい登記です。承継を証する書面の添付及び遺贈に準じた登記の申請をすることになりますが、相続との違いは、単独申請ではなく、「登記原因証明情報=承継を証する書面」が必要になるなどのほか、相続を証する書面の添付は不要ですが、共同申請となるため、遺言執行者が選任されていない場合は、登記権利者が承継者、登記義務者として、相続人全員が義務者となります。

《民法第897条》 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。

2.前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める